閉鎖病棟に収容された重度アルコール依存症患者が自立するまでの回復プロセス可視化に成功しました
~脳に注目した回復プログラム「ブレスメソッド」の成果~
独自回復プログラム「ブレスメソッド」を用いて脳のリハビリテーションを導入した自立支援を行っている、毎晩ウイスキー1リットルの飲酒がやめられない重度のアルコール依存症患者が閉鎖病棟を出て自立するまでの回復プロセスをデータで可視化することに成功しました。
【ブレスメソッドについて】
「ブレスメソッド」は医療機関とピアスタッフ※1 が連携して、精神判定ソフト(メンタルチェッカー)※2 によって、治療や訓練の進捗状況を都度数値で確認し合いながら進めます。そして治療・訓練が進むにつれ、精神状態を10項目で分類したうち、「外向性」「攻撃性」「安定性」「活力」「自制心」そして「ポジティブ要素」「ネガティブ要素」が大きく変動しているという事を発見いたしました。
※1 施設で働く依存症・精神疾患当事者であり克服・回復したスタッフ。同じような立場で、気持ちに寄り添い経験を活かした支援が行えます
※2 特許技術を使用した、カメラ画像を介して人の精神状態を自動解析して判定するシステム
1.依存症の人は外向性・安定性・活力・自制心が低く、ネガティブ傾向
2.訓練・治療6か月でポジティブ要素・安定性・活力・自制心が向上し、意欲的に
3.訓練・治療11か月で外向性が向上、攻撃性を抑え、自立に向けた心の状態が形成
1.依存症の人は外向性・安定性・活力・自制心が低く、ネガティブ傾向
訓練・治療開始前(以後、開始前)のデータです。
感情傾向
「外向性」が100%中5.7%と極めて低い数値になっています。この数値が高いと社交的・活発・リーダーシップがあるとされ、数値が低いと用心深い・控えめとされることから、このアルコール依存症の方は極めて用心深く不安を感じ易い状態と読み取れます。
10の評価要素からの判定結果
「安定性」は精神の均衡を示します。平均基準値50-100を大きく下回り41.4と低い数値を示しています。(以後、「10の評価要素からの判定結果」は平均の数値を取り上げます) また、物事を成し遂げる「活力」が12.5、心を制御する「自制心」が48.7と低い数値です。これらの数値は情緒の不安定さを示し、前向きに生きるエネルギーが無い状態と言えます。この「安定性」「活力」「自制心」の低さは、どの依存症の方にも共通して確認することができました。
感情分布チャート
円グラフは青色の「ポジティブ要素」が50%以上で残りの2要素、赤色のネガティブ要素25%と黄緑色の生理的反応25%が望ましいとされます。データはポジティブ要素が38.5%と半分に満たず、赤色のネガティブ要素が40.7%と全体の2/3を占める結果になっており、これは悲観的な感情の状態と言えます。
この時期、何度か自制が効かず飲酒を行い、離脱症状※3に襲われ、職員を避け、挨拶もしないという状態でした。
※3 (りだつしょうじょう)依存性のある薬物およびアルコールなどの反復使用を、中止・減量した際に生じる様々な身体的・精神的症状のこと。禁断症状とも呼ばれる。
2.訓練・治療6か月でポジティブ要素・安定性・活力・自制心が向上し、意欲的に
訓練・治療を行って6か月が経過した(以後、6か月後)データです。
感情分布チャート
青色の「ポジティブ要素」が51.6%と半分以上を占めており、意欲的になっていることが確認できます。この結果は、回復プログラムを次のステップに進められることを示唆する指標となっています。
「安定性」が41.4 から67.5に向上、「活力」が12.5 から28.5に向上、自制心は48.7から72.0に向上している。この結果は、「ブレスメソッド」により自己コントロールが可能になった結果と言えます。
この時期になると、自発的にアルバイトを探し、職員や他の利用者さんとコミュニケーションが取れるようになりました。
3.訓練・治療11か月で外向性を向上、攻撃性を抑え、自立に向けた心の状態が形成
訓練・治療を行って11か月が経過した(以後、11か月後)データです。
「ブレスメソッド」による、TMS磁気治療、脳波計を駆使してのマインドフルネス、運動療法、広角視野トレーニング、自律訓練法、適応力養成プログラムなどの施設内治療及び訓練と企業研修1社2週間×5社の施設外訓練を終了した後の測定結果は驚くべきものでした。
(1) 施設入所した時に測定した結果と比較して、自立に向けた心の状態が形成されたと言えます。
【外向性】 開始前:5.7→11か月後:60と向上
外向性とは、興味や関心が自己の内面に向けられ主観的、内気・孤独で思慮深い反面、実行力・社交性に乏しい性格特性から、興味や関心が外界に向けられ刺激に敏感に反応し、決断が速く、行動的で社交的特性。と定義されているように、興味や関心が内側から外側へ向く感情傾向に変わっています。
依存症とは、特定の何かに心を奪われ、「止めたくても止められない」状態になること。とされているので、感情傾向は極めて内向的です。感情傾向が外側に向くということは、特定の何かに執着した状態から、社会に意識が解放されたことを意味します。つまり、自立に向けた心の状態が形成されたと言えます。
(2) 「攻撃性」を抑える事に成功、自分に自信を持つことにより不安・恐怖が払拭されます。
【攻撃性】開始前:53.3→11か月後:36.7へ低下
攻撃性とは、大幅に改善した数値は攻撃性であり、入所時の平均値を大きく上回った53.3から、平均値の36.7へと下がっている。
これは攻撃性を高める防衛本能が過剰に働いていない状態を指し、不安・恐怖が払拭でき自信を付けたと言えます。
この時期になると、週5日8時間遅刻・欠勤なく仕事をし、職場でも良好な人間関係を築くことができるようになりました。
回復には3つのフェーズがあり、おおよそ下記のようになります。
1.脳の「前頭前野(理性)」VS「扁桃体(恐怖)」~脳の神経回路修復
2.不安と寄り添う~あるがまま受け入れる
3.社会での居場所確立に向けて~働くという事
当社ではこのデータを元に「ブレスメソッド」を更にアップデートし、脳科学的な根拠を元に依存症・うつ・神経症の効果的・効率的な回復プログラムを提供してまいります。
【調査概要】
調査対象:依存症・うつ・神経症の利用者、職員等のべ200人
調査期間:2015年~2021年
調査方法:上記調査対象を定期的に計測した蓄積データを参照し調査
【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】
ブレスコーポレーション株式会社
TEL:06-6997-7778 FAX:06-6997-7779
e-mail:info@bless-help.jp