ADHDの特性緩和を目指す「瞑想」

瞑想スペースADHDは発達障がいの一つで「注意欠如」や「多動」という特性が知られています。ADHDのために集中力の維持が難しい、衝動的に行動してしまう、不安やストレスを感じやすいといった特性でお悩みの方が多いです。こうした特性を和らげる方法のひとつとして、当事業所では「瞑想」をお勧めしています。

ADHDの主な症状

ADHDの特性には「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの要素が挙げられます。以下に具体的な行動を示します。

不注意・・・集中力を維持させるのが難しい

忘れ物や紛失が多い(鍵や財布、
スマートフォン、書類など)
優先順位をつけて行動するのが難しい
事務作業など注意が必要な作業が苦手
話を聞いていても気が散りやすい
物事を最後までやり遂げるのが難しい

忘れ物
多動性・・・じっとしているのが苦手

1つの所に留まって待つのが苦手
会話中に必要以上に体が動いてしまう
しゃべり続けてしまい相手を困らせる
予定が空いていると落ち着かないため、
予定を詰め込む

おしゃべり
衝動性・・・思ったことをすぐ行動に移してしまう

怒りや感情のコントロールが出来なくて
人間関係に支障が出る
無計画にお金を使ってしまう
人の話を最後まで聞かずに動いてしまう
順番を待つのが苦手

衝動

人間だれしも忘れたりミスをしたりすることがあり、自閉的な部分や多動な部分を持ち合わせているものです。しかし、上記のような行動によって日常生活や仕事に困難が生じると「障害」の領域になります。

具体的には、仕事に就けなかったり、就いても長く続かなかったり、浪費で貧困に陥ったり、トラブルを起こして良好な人間関係を保てなかったりという状況です。

ADHDの脳の特性

ADHDがある方の脳について、前頭葉や頭頂葉、小脳などの機能障害が指摘されています。中でも前頭葉の「前頭前野」という部分の機能がうまく働かないことで、ADHD特有の問題が現れます。

前頭前野

前頭前野は、集中力や計画性、感情のコントロールを司る重要な部分です。すなわち、前頭前野の機能が低下していることで

・衝動性を抑える力が弱く、物事に衝動的に反応し行動してしまう
・集中力に欠け、現状を的確に認識できない
・問題について必要な処理をやり遂げることが難しい

という支障が起こります。

では前頭前野の機能を向上させることができれば、ADHDの特性を緩和できるのではないでしょうか。そこで前頭前野の活性化を図る方法の一つとして登場するのが「瞑想(めいそう)」です。

瞑想とは、心と体を整えて、心を落ち着かせる実践技法です。瞑想をすることで以下のことが期待できます。

・心と体の統合を図る
・脳力を高める(記憶力、集中力、発想力など)
・ストレスや不安を軽減する
・感情のコントロールがしやすくなる

ADHDの特性緩和に役立つ瞑想

ADHDのある方が習慣的に瞑想を行うと、以下のようなメリットが期待されます。

集中力を高める

ADHDのある方は、注意がそれやすく集中できないことがあります。瞑想によって「今この瞬間」に意識を向ける練習をすることで、集中力を鍛えることができます。

パソコン作業
睡眠の質を改善する

ADHDのある方は、寝つきが悪かったり、眠りが浅くなったりすることがあります。寝る前に瞑想をすることで、リラックスしやすくなり、スムーズに眠れる効果を期待できます。

睡眠
ストレスや不安を和らげる

ADHDの特性によって失敗すると自己肯定感が下がり、ストレスを抱えやすいことがあります。瞑想することで、リラックスしやすくなり、ストレスを軽減できます。

安心
衝動的な行動を抑える

瞑想を続けると、衝動的な行動を起こす前に「少し立ち止まる」ことができるようになります。衝動をコントロールする力を鍛えることで、対人関係などのトラブルを減らすことが期待できます。

立ち止まる
感情のコントロールがしやすくなる

ADHDのある方は、感情の起伏が激しくなりがちですが、瞑想によって自己観察力が高まると、感情に振り回されにくくなります。

制御する

ADHDのある方におすすめの瞑想方法

マインドフルネス瞑想

判断することなく今この瞬間に注意を向け続けるのがマインドフルネスです。マインドフルネス瞑想は、呼吸しやすい姿勢で目を閉じ、自分の心の状態や身体の状態に注意をむけます。自分の状況について善悪の判断や評価をせず、ありのままを観察します。

マインドフルネス
呼吸に集中するシンプルな瞑想

「鼻から4秒吸って、口から8秒吐く」などリズムを意識しながら、呼吸に集中します。深い呼吸を行うことで多くの酸素を取り込み血行が促進され、リラックスできます。シンプルで続けやすい方法です。

呼吸を意識
ガイド付き瞑想

ADHDのある方は、静かな場所で座って瞑想するのが苦手なことも多いです。音声ガイド付きの瞑想アプリやYouTubeの瞑想動画などの便利なツールを利用して、ヒーリング音楽を聴きながら瞑想します。

音楽

当事業所でおすすめしている瞑想法

ニューロフィードバック療法

ミューズで瞑想
「muse(ミューズ)」というアプリと脳波デバイスを使います。脳波の活動をリアルタイムで視覚や音などのフィードバックとして提示し、自分の脳の状態を意識的にコントロール・トレーニングすることを目的とした治療法です。

ニューロフィードバックの仕組み

脳波デバイス
スマートフォン

頭部にセンサーを装着して瞑想を始めます。脳の電気的活動(脳波)をリアルタイムに測定し、そのデータはスマートフォンのアプリに送られます。脳波は周波数に基づいて5つの種類に分類されます。muse(ミューズ)による瞑想では深くリラックスしている状態「α(アルファ)波」を出すことを目指します。

脳波の種類
脳波 周波数 状態
δ(デルタ)波 4Hz以下 深い睡眠状態(ノンレム睡眠)
θ(シータ)波 4Hz〜7Hz 浅い睡眠、深い瞑想状態、集中していて効率の良い作業をしているとき
α(アルファ)波 8Hz〜13Hz 目を閉じている時、深くリラックスしている状態
β(ベータ)波 4Hz〜30Hz 覚醒し集中している状態
γ(ガンマ)波 30Hz以上 緊張しているとき、イライラしているとき

 

脳波のパターンに応じて、アプリの映像や音が変わります(アルファ波が出ている状態では鳥のさえずりが聞こえます)。

ニューロフィードバックでできること

「muse」を使った瞑想を習慣化することで、脳はアルファ波が出ている状態を学習します。訓練を続けると、普段の生活の中でいつでも必要な時に理想的な脳波状態へとシフトできるようになります。

脳波を自ら操れるようになると、抑制力が身につき、多動・衝動性・注意力欠陥などのADHDの特性を緩和することができます。

当事業所での瞑想プログラム

瞑想スペース当事業所には瞑想に適した仕切りのついた空間があります。障子窓に面した明るい畳敷きの場所で、机と瞑想用のクッションがあります。瞑想に取り組みたい利用者様には、脳波デバイスをお貸しします。ご自身のスマートフォンに「muse(ミューズ)」というアプリをダウンロードしていただき、アプリの指示に従って瞑想に取り組んでください。

見学にお越しの際はぜひ、脳波状態を測定できる瞑想「ニューロフィードバック療法」をご体験ください。