TMS治療で発達障害の特性を緩和できるのか?

発達障害の種類と特性

発達障害とは生まれつき脳の働き方に違いがあるため情報処理や制御に問題が生じている状態です。発達障害にはいくつか種類があり、「注意をし続けることが難しい」「授業中にもかかわらず席を離れてしまう」「忘れっぽい」「生活リズムが整わない(睡眠など)」などの特徴があり、日常生活に困難をきたすことがあります。
発達障害の代表的なものとして、下記の3つがあります。

  • ASD[エーエスディ] Autism Spectrum Disorder(自閉スペクトラム症)
  • ADHD[エーディエイチディ attention-deficit hyperactivity disorder](注意欠如・多動症)
  • LD[エルディ Learning DisabilitiesまたはLearning Differences](学習障害)
図1 代表的な発達障害の種類

これらは、脳の働き方に問題が生じている点が共通していますが、同じ障害名でも特性が異なり、いくつかの発達障害を併せ持つことがあります。

TMS治療で発達障害の特性を緩和できるのか?

近年、発達障害の特性緩和において、TMS治療に薬物療法と同程度の効果が認められたとの報告がありました。※TMS治療の詳細については、こちらをご参照ください。
これは大きな進展で、TMS治療は薬物療法と違い副作用がほとんどないため、薬物療法以上に安心して治療に取り組んでもらうことが出来ます。
当事業所では、医療と連携して発達障害に対してのTMS治療およびリハビリテーションの研究を行っており、ご利用者様個々の波動計による精神測定、脳波計による脳波の検査、エゴグラムによる性格分析などの結果をもとに、相互に治療やリハビリテーションの進捗を確認しながら改善プランを提案しております。

ADHD(注意欠如多動症)の特性の謎を解明

ADHDとは、発達障害の一つで「注意欠如・多動症」と呼ばれています。
ADHDの特徴には、

  • 不注意(集中できない、物を忘れる、物をなくしやすい)
  • 多動(落ち着きがなくじっとしていられない、飽きやすい)
  • 衝動(思い付きの行動が多い、情緒が不安定)

などの症状が見られます。
下の図は、発達障害(ADHD)の方の精神測定結果です。

図2 メンタルチェッカーによる精神測定の結果(ADHD)
メンタルチェッカーによる精神測定の結果(ADHD)

※精神測定では「攻撃性」「ストレス」「緊張」「疑心」「安定性」「カリスマ性」「活力」「自制心」「抑圧」「神経質」の10のパラメーターで状態を表しています。

特徴としては「ストレス」が平均値を下回り、極端に低いことです。一見「ストレス」が低いことは健康的の様に思えるのですが、実は平均値並みの「ストレス」は心の負荷として必要なのです。
皆さん、「ストレス」が極端に低い、つまり、心に負荷が掛かっていない脳の状態ってどんな状態かご存知ですか?それは、脳波計で脳波を測定することで明らかになります。

脳波計では脳の活動状態を知ることができます。脳波は周波数の大きい順にベータ波、アルファ波、シータ波、デルタ波に分けられます。ベータ波は、目覚めている時に通常出ている脳波で、緊張や心配事がある場合にも現れます。アルファ波は、目覚めた状態でリラックスしている時、集中している状態です。シータ波はまどろみの時に、デルタ波は熟睡中や無意識の時に現れます。

表1 脳波と精神状態
ベータ波 目覚めている、緊張している
アルファ波 目覚めている、リラックスしている
シータ波 眠気がある、まどろんでいる
デルタ波 熟睡している、無意識

ADHDの方を脳波計で測定した際に見られる特徴は、シータ波デルタ波が脳波の大半を占めていることです。
シータ波やデルタ波はまどろんでいる時や熟睡中、無意識の時に出る脳波です。
つまり、発達障害(ADHD)の方の脳は脳波から検証すると、まどろんでいる状態、もしくは断続的に眠っているといえます。
皆さんは、まどろんでいる時、眠っている時に「ストレス」を感じるでしょうか?
感じないですよね・・・
また、「緊張」はするでしょうか?
これもしないといえます。

つまり、精神測定結果と脳波測定の結果を検証すると、発達障害の方(ADHD)の特性の謎が解けたといえます。
「ストレス」「緊張」が極端に低い人の精神状態は、まどろみや熟睡、そして覚醒の狭間を行ったり来たりで注意力欠陥や落ち着きがない状態(多動)を発症するのです。
また、それに伴い情緒不安定とも言えます。

ADHD(注意欠如多動症)の方へのTMS治療の結果

当事業所での発達障害に対して、注意散漫・集中力低下、多動・落ち着きがない・情緒不安定などの症状がある方への医療連携によるTMS治療では下記のような結果が得られました。

図3 TMS治療前と治療後の精神測定グラフ
表2 TMS治療前と治療後の違い(※◎は改善を示す)
治療前と治療後の違い

上の表の精神測定の数値を見ると治療前と治療後では、緊張、安定性、カリスマ性、活力、自制心、抑圧が上昇しました。つまり、脳が覚醒している状態だと言えます。下降した数値は攻撃性、ストレス、疑心、神経質で、情緒が安定したことがわかりました。これらの結果から、TMS治療は発達障害の特性緩和に効果があることが数値により確認できました。

当事業所では、医療とピアカウンセラーが連携してTMS治療も取り入れた発達障害の特性緩和を目指し、日々のデータを積み重ね分析し、治療やリハビリテーションに活かしていきます。

中川健司 著者
中川健司
ブレスコーポレーション株式会社 代表取締役
一般社団法人どんぐりの会 代表理事
宅地建物取引士
依存症・神経症・うつを克服し社会福祉に貢献したい思いから社団法人どんぐりの会を立ち上げる。生きづらさの根本的解決のためのサポート実現を目指し、医療と連携したリハビリ施設ブレスコーポレーションを起業。最新機器や脳科学を取り入れながら発達障害の「特性緩和」、うつや双極性障害、神経症、依存症などの「根本的改善」をサポートする。

施設ならびに相談拠点のご案内


ブレスコーポレーション株式会社
大阪府守口市滝井西町2-3-22吉岡第二ビル1階
Tel:0120-505-149