眠るためには「訓練が」必要なの?
あなたは眠ることを睡眠薬に頼っていませんか?
また、睡眠薬をやめたいと思ったことはありますか?
睡眠改善プログラムでは睡眠と不眠のメカニズムを学び、眠るための訓練を実施していきます。
「えっ、訓練…?睡眠に訓練が必要なのですか?」
なんて思いませんでしたか?
そうなんです。眠るための訓練です。
睡眠について学んでもらい眠る方法を身に付けてもらえば、質のいい睡眠をとれるようになりますよ!
そもそも睡眠とはどんな状態?なぜヒトには睡眠が必要?
睡眠とは、日々繰り返す「意識を喪失する生理的な状態」のことを言います。
意識的な体の動きが静止し、外的刺激に対する反応が低下した状態をいいます。
睡眠中は様々なホルモンが分泌され、新陳代謝を促し、日中の活動で疲れた心と体のメンテナンスを行います。よって、睡眠は心と体の健康を保ち、免疫力を高めるのに必要なのです。
睡眠は仮死状態とは違い、周期的に目覚めます。ヒトは通常、昼間に活動し、夜間に睡眠をとります。
睡眠時間は何時間必要か?
最適な睡眠時間は、年齢・日中の活動量、体調によって人ぞれぞれ異なりますが、
「7時間睡眠の人が死亡リスクが低い」というデータがあります。
図1 7時間睡眠と比較した死亡リスク(リスク比)
文献1)より作成
7時間睡眠の人の死亡率を1とした場合
3時間以下は1.5~1.6倍
10時間以上は1.6~1.9倍
と死亡リスクが上がるといわれています。
睡眠不足が健康に良くないのはもちろん、寝すぎも健康には良くないことがわかります。
レム睡眠とノンレム睡眠
眠りには異なる2種類の睡眠があります。レム睡眠、ノンレム睡眠といわれるものです。
●レム睡眠
眠っていても目玉が動き、脳は覚醒に近い浅い睡眠。
●ノンレム睡眠
ぐっすりと熟睡した状態の眠り。
図2 睡眠単位
レム睡眠からノンレム睡眠へ、ノンレム睡眠からレム睡眠に至るサイクルを「睡眠単位」といいます。
そのサイクルはおよそ90分間といわれています。
睡眠時間を90分で割ると「睡眠単位」が何回繰り返されているかわかります。
一般的に7時間半が健康的な睡眠と言われており、睡眠単位を約5回繰り返していることになります。
質の高い睡眠に必要なこととは?
睡眠に必要な5原則
質の高い睡眠をとるには様々な条件が必要ですが、代表的な5つの原則をご紹介します。
【1】 脳波 シーター波・デルタ波
【2】 脳内神経伝達物質 セロトニン・メラトニン
【3】 自律神経 副交感神経
【4】 体温 深部体温(体の中の体温)・室温
【5】 照度 寝る前の光の照度
【1】脳波
睡眠において脳波は非常に大切です。
活動している時の脳波はベータ(β)波で、まどろんでいる時、眠気を感じている時の脳波はシーター(θ)波です。
睡眠に問題を抱えている(不眠の)方の多くは、活動時のベータ(β)波から、まどろみ・眠気のシーター(θ)波へアルファ(α)波を経過せず移行できると考えています。
しかし、睡眠の脳波であるシータ(θ)にはアルファ(α)波を経過しないとたどり着くことはできません。
眠りには集中力が必要である
眠りには「集中力」が必要であることをご存じですか?
眠るのに気が散漫していては不眠に陥りやすく、寝つきが悪くなります。
アルファ(α)波は意識を集中させている時に出る脳波です。
アルファ(α)波を出すためには、意識を脳の前頭前野に集中させていかなければなりません。
脳の前頭前野は、おでこのあたりに位置します。
前頭前野に意識を集中することにより、意識が偏桃体から遠のき「不安・恐怖・怒り」といった防衛本能の感情が頭から消えていきます。
つまり、“力み”から体が解放されると考えてください。
ベータ(β)波からアルファ(α)波を経過せず、シータ(θ)に移行することはありませんが、アルファ(α)波からならシータ(θ)波には移行します。アルファ(α)波は“力み”が消えたリラックスの脳波です。よって、リラックスの状態からまどろみへ変化するといえます。
脳波をコントロールする訓練
眠るためには脳をリラックスモードにしなければなりません。
リラックスモードの脳波はアルファ(α)波です。
自分でアルファ(α)波の脳波にコントロールできるようにするための訓練が
「マインドフルネス」です。下の写真の脳波計を使って訓練します。
訓練を重ねていくと計測グラフのように高い集中力が得られるようになります。
この時脳はリラックスしておりアルファ(α)脳になっています。
【2】脳内神経伝達物質
神経伝達物質は約20種類位あるといわれています。
ここでは、主な
● ドーパミン
● ノルアドレナリン
● セロトニン
● GABA
を取り上げます。
この神経伝達物質には促進に働くものと、抑制に働くものがあり、
促進(覚醒)ではドーパミン、抑制ではGABAなどがあります。
図4 神経細胞
眠りにはセロトニンが必要
セロトニンとは、必須アミノ酸トリプトファンから生合成される脳内の神経伝達物質のひとつです。
他の神経伝達物質であるドパミン(喜び、快楽など)やノルアドレナリン(恐怖、驚きなど)などの情報をコントロールし、精神を安定させる働きがあります。
よって、睡眠に必要な精神安定を誘うにはセロトニンが必要なのです。
また、睡眠を調整する作用のメラトニン は、セロトニンが原料となっています。
セロトニンを増やすには
① 朝食を摂る
② 日光を浴びる
③ 運動
④ 食事
セロトニンは食べ物からトリプトファンを摂取して、腸内で5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)という成分に合成されて脳に届きます。
トリプトファンが多く含まれている食べ物 バナナ 赤身魚 赤身肉 レバー 鶏肉 卵 乳製品 大豆製品 トマト アボカド |
⑤ 腸内環境を整える
⑥ マッサージをする
⑦ 深呼吸をする
⑧ マインドフルネス
⑨ 笑顔を作る
【3】自律神経
自律神経とは、24時間、無意識に体温や内臓などを調整している神経です。
心身を活発にさせる交感神経と、休ませる副交感神経がバランスを取りながら、私たちの体を維持しています。
睡眠時は副交感神経にスイッチ
図5 交感神経と副交感神経
図5のとおり、自律神経を休息時は副交感神経にスイッチしなければ眠れません。
日中の交感神経のままでは、活動的になっているからです。
副交感神経を刺激する手段は、「朝に日光を浴びる、運動、アロマ、入浴などで体を温める、笑い、のんびり生活する」が報告されています。
副交感神経にスイッチするには、鼻からゆっくり息を吐き、お腹の中の空気を全て出すイメージで大きく吐くことがコツです。
睡眠への手順として、
前頭前野に意識を集中させ、脳波をアルファ(α)波にスイッチしたタイミングで
呼吸を整えながら息を大きく吐くことを繰り返すと、
自律神経が副交感神経に切り替わって寝落ちします。
【4】体温
睡眠前に体温のコンディションを整えて、よく眠る
質の良い睡眠に入るには、起きている時の一般的な体温37度から少し低い深部体温にすることが脳を休ませるのに良いとされています。そのためには、図の通り、午後8時過ぎに入浴し、時間の経過により深部体温が下がり続けることが望ましく、午前3時を境に目覚めに向けて深部体温が上昇する流れを作る事が大切です。
図6 入浴による深部体温への影響
睡眠中の体温を操作してよく眠る
・電気毛布を使用する場合、タイマーで加熱を切るか、最弱レベルにする。
・部屋の暖房は、眠ってから少し部屋の温度が低くなると深い眠りが得られます。
・頭を冷やすと深い眠りが得られやすくなります。
睡眠の最適室温
ちょうど良い深部体温にするのに最適な室温は25度前後、
冬場の寒い時期なら20度前後と言われています。
【5】照度
快眠のための「光」の環境
夜寝る前に活動するときの光の照度は100~200ルクス(lx)を目安とし、色温度が低く、明るすぎない暗めの光でリラックスを促し、必要以上に覚醒を促進しないことが良いとされています。
図7 照度の目安
快晴 | ルクス |
10,000 | |
曇天のお昼 | ルクス |
1,000 | |
コンビニ店内、一般事務所 | ルクス |
500 | |
寝る前の部屋の照度 | ルクス |
100~200 | |
商店街のアーケード内 | ルクス |
50 |
アイマスクの使用
アイマスクは光を遮断して目を休ませることができるので
休憩したい時や睡眠時に使用する方も多いです。
眼精疲労を感じた時には、アイマスクでも温かいホットアイマスクがおすすめ。
目元を温めると眼精疲労だけでなく、リラックス効果や睡眠の質が上がるなどの相乗効果も期待できます。
まとめ
私は過去、睡眠障害からハルシオンを毎晩7錠飲まないと眠れませんでした。
7錠飲んでも、途中覚醒によって目が覚め、飲みたす状態だったのです。
心療内科に行って眠れないことを相談すると安易に睡眠薬が処方されますが、根本的な睡眠障害の解決になりません。
睡眠薬の服用が日常的になり習慣化しただけでした。
薬は効果がありますが副作用もあります。
私にとって副作用は依存と認知機能の低下・神経過敏でした。
私はこのような副作用が怖く、原点回帰で、自然に睡眠がとれるように睡眠のメカニズムを勉強したのです。
私が睡眠に欠かせないと感じたことは
● 運動 (新陳代謝)
● 集中力 (脳波アルファ波)
● 呼吸 (副交感神経にスイッチ)
● 自己暗示
● マッサージ(コリをほぐす)
● 入浴 (体温調整)
● 腸内環境・食事(脳内神経伝達物質セロトニンをつくる)
です。
文献
1)Tamakoshi A, Ohno Y; JACC Study Group. Self-reported sleep duration as a predictor of all-cause mortality: results from the JACC study, Japan. Sleep. 27(1), 51-4, 2004.
著者 中川健司 ブレスコーポレーション株式会社 代表取締役 一般社団法人どんぐりの会 代表理事 宅地建物取引士 依存症・神経症・うつを克服し社会福祉に貢献したい思いから社団法人どんぐりの会を立ち上げる。生きづらさの根本的解決のためのサポート実現を目指し、医療と連携したリハビリ施設ブレスコーポレーションを起業。最新機器や脳科学を取り入れながら発達障害の「特性緩和」、うつや双極性障害、神経症、依存症などの「根本的改善」をサポートする。 |
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