ASDとADHD 精神測定からわかる特徴と対処法

ASDとADHD 障がいのとらえ方

発達障がいの代表的なものに、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)、ADHD(注意欠如多動性障害)、LD(学習障害)があります。発達障害の種類について、下のような図で表されることが多いです。今回はASDとADHDを取り上げてお話しします。両方の特性を併せ持つことがあるので、診断名にこだわるよりも自分はどちらの傾向が強いのか理解する程度にとどめることが大切です。

発達障害の種類図1

ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)の特徴

● 社会性が乏しい
相手の気持ちを直ぐに理解できない(共感力がない)。自分視点の思い込みが強く、空気が読めない、自己中心的ととられることが多い。
● 難しく表現する
情報処理が遅く返事をすぐに返せない。言葉の定義が狭くて固い。コミュニケーションが苦手。書き言葉で話したり、喋り言葉で書いたりする。
● こだわりの強さがある
好き嫌いが極端。自分なりのルールがあり融通がきかない。イレギュラーなことが苦手でスムーズに対応できない。

ADHD(注意欠如多動性障害)の特徴

● 不注意優越型
物をなくす、ケアレスミスをすることが多い、集中力に欠ける、意識の切り替えが困難、段取りが悪い
● 多動性
思い付きで行動する、順番が待てない、人の話に割り込む、一方的に話す

発達障がいの特性によって起きた事例

事例1

講師を招き、社内勉強会を実施していた時の話です。勉強会も一通り終え、最後にテストを実施しました。社員皆がテストに取り組んでいると一人の女性社員がトイレに立ったのです。トイレの時間が長く、他の社員はテストの答案を終えていました。トイレから帰ってきた社員は、遅れながらも答案に取り組み始めました。
このテストは今後の処遇を決めるような重大なテストではありません。現に教科書を見て答案して良いものでした。また、テスト前にトイレ休憩も挟んでおりました。研修会場トイレに行っていた社員以外はテストを終え、全員退席しました。私はその社員に「慌てなくてもかまわないからね」と声を掛けました。その後、私は講師と次の勉強会の打ち合わせをその場所で常識的な声量で行っていました。すると、その社員が上司である私と講師に向かって「うるさい!静かにしろ!」と怒鳴りつけてきたのです。
私は彼女の乱暴な言葉遣いに面食らいました。しかし後でその社員が発達障害であったことを思い出し、発達障害の特性として「自分目線で考える」「衝動性」「空気が読めない」「こだわり」「切り替えが苦手」などがあることを改めて実感したのでした。

事例2

私がクライアントの相談に乗っていた時の話です。呼びもしないのにある社員が相談を行っているテーブルにやってきて、いきなり私を遮って口を挟んできました。相談にのっている私は話が混乱すると思い、「ぼくはあなたを呼んでいないよ」と退席することをそれとなく伝えました。すると彼は「私は 今、手が空いているので」と言葉を返してきました。
その時は対応に困りました。後々その社員に発達障害があることがわかり、これが発達障害の「衝動性」「空気が読めない」ということだったのかと合点がいきました。

発達障害の診断―ASD、ADHDの場合

  • ASDとADHDでは両方の障害に似た特徴があるため、どちらかのみの診断は難しい。診断名が「ASD、ADHD」になることが多い
  • 患者の説明する能力と医師の聞き取る能力によって診断名が異なってくる
  • 前頭前野図2

    脳の前頭前野は主に思考や行動を司ります。ASDであれADHDであれこの部位に問題が生じているのです。
    「想像」「こだわり」「切り替え」「段取り」「不注意」などは、ほぼ前頭前野が関係しており、そういった事から、前頭前野の機能障害と考えられています。しかし、脳の機能はまだまだ解明されておらず、ADHDとASDの原因が前頭前野のどこにあるのかまでは分からないのが実状です。
    ゆえに、多くの場合、ADHDとASDはまとめて発達障害という大きなくくりで考えられています。

    当事業所の研究からみたASDとADHD

    前頭前野 偏桃体
    考える
    記憶する
    アイデアを出す
    行動や感情をコントロールする
    判断する
    応用する
    コミニュケーションする
    やる気を出す
    恐怖
    不安
    といったマイナスの情動
    に深く関わっている
    脳の役割図3
    ASD傾向 → 理性<恐怖=過緊張
    前頭前野の「行動や感情をコントロールする」機能がADHDと同様に低下しており、偏桃体の防衛本能が過剰に活性化していることから過緊張気味となり、思考と行動が自閉気味になるのではと考えています。
    ADHD傾向 → 理性↓恐怖↓=躁状態
    前頭前野の「行動や感情をコントロールする」機能が低下しており、偏桃体の防衛本能機能も低下していることから躁状態になっていると考えています。

    精神測定の値から見るASDとADHDの違い

    <ASDの測定値>
    ASDの外向性
    <ADHDの測定値>

    ADHDの外向性
    当事業所では精神測定の結果から、ASDとADHDの違いは「外向性」にあると考えています。上記測定結果ではASDの方の「外向性」は23.9%、それに比べてADHDの方の「外向性」は83.8%と大きくかけ離れています。自閉と躁状態の違いを感じます。
    ゆえに、ASDはADHDより視野が狭くネガティブと考えられます。

    <ASDの測定値>
    ASDの測定結果
    <ADHDの測定値>

    ADHDの測定結果
    上記測定表は精神構造を「攻撃性」「ストレス」「緊張」「疑心」「安定性」「カリスマ性」「活力」「自制心」「抑圧」「神経質」の10のパラメーターで数値化しています。
    この結果、ASDの特徴は「攻撃性」「抑圧」が平均値帯よりも高いという点です。
    ADHDの方はASDと違い、「攻撃性」や「抑圧」は平均値帯内で「ストレス」が平均値帯より極端に低く「活力」が高いことです。この結果は、過緊張状態と躁状態の違いを表しています。

    ASDとADHDの特性緩和に向けて

    ASDとADHDは様々な共通点があり、医師の問診では見極めは難しいとされています。しかし、精神測定器を使い、精神状態を可視化すると明らかに数値が違います。ASDとADHDを兼ね備えている場合がありますがどちらがより傾向が強いのか・・・数値を見れば見当がつきます。また、脳波計で重ねて測定すると傾向が顕著にわかります。測定し可視化することによって、どの障がいの傾向が強いのかがわかり、障がいの特性緩和に何が有効なのかか明らかになってきます。

    中川健司 著者
    中川健司
    ブレスコーポレーション株式会社 代表取締役
    一般社団法人どんぐりの会 代表理事
    宅地建物取引士
    依存症・神経症・うつを克服し社会福祉に貢献したい思いから社団法人どんぐりの会を立ち上げる。生きづらさの根本的解決のためのサポート実現を目指し、医療と連携したリハビリ施設ブレスコーポレーションを起業。最新機器や脳科学を取り入れながら発達障害の「特性緩和」、うつや双極性障害、神経症、依存症などの「根本的改善」をサポートする。
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